ドライクリーニングって何?
はじめに・・・
ドライマークの付いた衣類が家庭でも洗えるという洗剤のコマーシャルで『ホームクリーニング』という言葉をよく耳にするようになりました。 しかし果たして家庭でドライクリーニングなんて可能なものなのでしょうか? 当店でも、この種の商品をお使いになったお客様から、ご自分で『ドライ表示』のものを洗ってみたものの シワや縮み、または落としきれない汚れに対処しきれず、結局はプレスや洗い直しのご依頼をお受けする事が多々あります。 これがこちらで対処しきれる範囲でしたらいいのですが、せっかくの大切なお召し物が、2度と袖を通せないような 無惨な姿になってしまうのは非常に残念な事ですよね。 こうなる前に・・・・ ドライクリーニングについて簡単にご説明しますので、ご参考にして頂ければ幸いです。 |
■ まずはクリーニング店での主な作業工程を紹介します。
|
→ |
|
→ |
|
→ |
|
→ |
|
→ |
|
→ |
|
→ |
|
|||||||||
↑ │ │ │ │ |
↑ ここでポケット内の掃除や 付属品を外したり、ホツレ・ ボタン取れの応急処理を行う |
│ │ │ │ ↓ |
|||||||||||||||||||||
|
← |
|
← |
|
← |
|
← |
|
← |
|
← |
|
← |
|
|||||||||
↑ ここで破れ・キズを直す ボタンをつける |
■ クリーニングの方法には大きく分けて2種類あります。
[1] ランドリー(湿式洗濯)・・・・・・・・・水を使う方法
・ 汗、食べこぼしなど、水溶性の汚れを落とす。
[2] ドライクリーニング(乾式洗濯)・・・溶剤注1を使う方法
・ 垢、皮脂、表皮角質、ホコリ、ばい煙などを落とす。
注1・・・溶剤には下記の4種類がありますが、2〜3は人体や環境に悪影響があるため廃止されたものもあり、
現在ではほとんど使われていません。ちなみに当店では1番の石油系を使用しています。
1.石油系
2.テトラクロロエチレン(パークロルエチレン)
3.トリクロロエチレン(エタン)
4.フッ素系(フロン−113)
■ ランドリーとドライクリーニングの特徴を比べてみます。
それぞれのクリーニング方法は、汚れや衣類の素材に合わせて選びます。
実験によってその必然性を確認しましょう。
[実験−1] | 汗の汚れを落とすには・・・? 2つのガラス瓶に、それぞれ水とドライ溶剤を入れ 汗の成分である塩分を溶かす効果を調べます。 この場合、分かり易くするため同類の角砂糖を使用しました。 |
![]() |
|
水(溶ける) ドライ溶剤(溶けない) | |
この実験では、衣類に付着した汗などの汚れは 水に溶けて落ちる事がわかります。 |
|
[実験−2] | アブラ(脂・油)の汚れを 落とすには・・・? バターを使ってアブラを溶かす効果を調べます。 |
![]() |
|
水(溶けない) ドライ溶剤(溶ける) | |
この実験では、衣類に付着したアブラ汚れは ドライ溶剤で落ちる事がわかります。 |
|
[実験−3] | 型崩れを防ぐには・・・? 水になじみやすい綿やレーヨン素材の代わりに ソフトクリームのコーンを使って調べます。 |
![]() |
|
水(崩れる) ドライ溶剤(崩れない) | |
この実験では、ドライクリーニングは衣類の縮み・型崩れの 防止に大変効果的だという事がわかります。 |
この実験により、『ドライマークのものが洗える』といった洗剤や洗濯機を使っても
『水』を使用して洗う以上、どうしても繊維に負担がかかり変化が起きてしまいます。
クリーニングは、汚れや素材・目的に合わせて洗濯方法を選ぶ事が大切です。