2005
05,01.01 北日本
◆ 世界の民謡八尾に集結 祭典で新市に活気を
 国内を代表する民謡「おわら」を伝承する八尾町で、国内外の伝統芸能を集めた民謡
の祭典を開催する構想が浮上している。越中八尾観光協会(福島順二会長)が検討して
いるもので、民謡のメッカ・八尾を世界にアピールし、4月に富山地域7市町村が合併
して誕生する新・富山市に活気をもたらしたい考えだ。

 県内民謡が競演する2月の恒例イベント「越中八尾冬浪漫(ロマン)」(北日本新聞
社後援)を拡大し実現を目指す予定で、今年は第一歩として秋田県羽後(うご)町の国
指定重要無形民俗文化財「西馬音(にしも)内(ない)盆踊り」を招く。

 冬場のにぎわいを創出するイベントとして、八尾町で開催してきた「冬浪漫」はこれ
まで、おわら、五箇山のこきりこ、麦屋節、といちんさが競演。素朴な風情が漂う富山
民謡の魅力を披露し、ファンの人気を集めてきた。

 県外からの初参加となる西馬音内盆踊りは太鼓や三味線、歌などに合わせ、あい染め
の浴衣、編みがさ姿の踊り手が優美に舞い、おわらと似通った情緒を醸し出す。八尾、
羽後両町の観光協会同士の交流から、昨年6月の羽後町の夏祭りに県民謡おわら保存会
が出演し、「冬浪漫」への参加が具体化した。

 越中八尾観光協会はこれを足掛かりに、将来は他の国内民謡や海外の伝統芸能を集め
た世界民謡の祭典≠ノグレードアップすることを視野に入れている。国内では沖縄や
飛騨地方の民謡、海外ではイタリア歌謡「カンツォーネ」、豊作を祈願する韓国民謡な
どをリストアップし検討を進める。まず、17年度中に他県への視察を実施し国内民謡
の参加拡大を図る。

 演劇の利賀フェスティバルの民謡版ともいえる一大イベントが実現すれば、新市の集
客力が高まり、宿泊客の受け入れや食材供給などの面で観光産業に大きな波及効果を与
えると期待される。

 福島会長は「各地域の生活に密着し素朴さを受け継ぐ伝統芸能を一堂に集めた催しは
八尾と新市の魅力を大いに高める。新市の地域間で連携を深め、新たな観光ルート開発
に結び付けていきたい」と夢を広げる。

05,01.05 北日本
◆ 冬の八尾に哀調の響き おわら地方初げいこ
 八尾町福島地区で5日、町内のトップを切って、おわら地方(じかた)衆の初げいこ
が行われ、「坂の町」に哀調を帯びた三味線、胡弓の音色と歌声が響いた。

 同日夜、福島第二区公民館に楽器を手にした約30人が新年のあいさつを交わしなが
ら集まった。曲の出だしの響き具合を確かめ、丹念に調弦。「ハイッ」の掛け声を合図
に三味線、胡弓の音色が流れた。「歌われよー、わしゃはやすー」の囃子とともに、お
わら独特の高音の歌声が響き渡った。

 1時間余り練習した後、演奏法やおわらを話題に談笑した。

 同町では11カ所に県民謡おわら保存会支部が設けられ、各支部の担い手たちが年間
を通じて練習に打ち込んでいる。

 他の10支部でも今月から2月にかけ、練習が始まる。

05,01.19 北日本
◆ 県内と秋田の民謡競演 越中八尾冬浪漫
 おわら、五箇山民謡と秋田県羽後町の国指定重要無形民俗文化財「西馬音内(にしも
ない)盆踊り」が競演する「越中八尾冬浪漫(ロマン)」が2月6日から27日までの
毎週土、日曜、八尾町上新町の越中八尾観光会館で繰り広げられる。北日本新聞社共催。

 「西馬音内盆踊り」は八尾、羽後両町の観光協会の交流から出演が実現した。「冬浪
漫」ではこれまで、おわらなど県内を代表する民謡の魅力をアピールしてきたが、県外
の民謡が参加するのは初めて。主催する越中八尾観光協会は将来、他の国内民謡や海外
の伝統芸能を招き「世界民謡の祭典」に拡大することを検討している。

 民謡競演は「民謡セッション」と題したメーンイベントで、6日、13日と最終日の
27日に各2回、1時間余り行う。

 「西馬音内盆踊り」は開幕の6日を飾る。色とりどりの布を継ぎ合わせた端縫(は
ぬ)い衣装やあい染めの浴衣を着けた踊り手が太鼓や三味線、歌に合わせ、おわらと似
通った優雅な舞を披露。南砺市(平)の越中五箇山こきりこ唄(うた)保存会、八尾の
県民謡おわら保存会が競演し、郷土色あふれる伝統芸を演じる。

 13日と27日は南砺市(上平)の越中五箇山民謡保存会、同市(平)の越中五箇山
麦屋節保存会、こきりこ唄保存会、おわら保存会が出演する。

 越中八尾駅周辺の再整備をテーマにした中心市街地活性化まちづくりフォーラムは2
6日開き、西村幸夫東京大大学院教授や株式会社玄(東京)の政所(まんどころ)利子
代表らが意見を交わす。6、7日には「観光カリスマ」の福島順二・越中八尾観光協会
長を講師に「観光カリスマ塾」を開く。

 獅子・曳山囃子(ひきやまはやし)鑑賞会(20日)、おわら演奏と踊りを披露する
「風の盆ステージ」(12、26日)もある。

 「民謡セッション」の入場料は2800円(20人以上の団体は2500円)。各開
催日の2週間前から発売し、初日分は24日に売り出す。

 問い合わせは同観光協会、電話076(454)5138。

      
    
05,01.28 北日本
 夜にしみ入る笛太鼓 八尾で曳山囃子寒げいこ
 八尾町の曳山囃子(ひきやまばやし)の寒げいこが27日、同町諏訪町と東町で町内
のトップを切って始まり「坂の町」の夜に三味線や笛の典雅な音色が響いた。

 八尾曳山は約260年の歴史を誇り、中心市街地の6町内で豪華な曳山を所有してい
る。

 囃子は端唄(はうた)や浄瑠璃などを基に創作されたと伝えられ、5月3日の越中八
尾曳山祭では、囃子方が曳山に乗って多彩な調べを披露する。

 諏訪町公民館で行われた寒げいこには、囃子方十数人が集まった。「ドーン、ドー
ン」と太鼓を響かせ、ゆったりとしたリズムに合わせて、曳山が戻る際の「おきんさ」
や「上下の坂」などを三味線と笛で奏でた。

 諏訪町曳山保存会の吉川清会長は「若い人を育て、伝統芸能を守っていきたい」と話
していた。

 上新町、下新町、西町、今町は来月からけいこに入る。

 2月20日には県内外の伝統芸能が競演する「越中八尾冬浪漫(ロマン)」(北日本
新聞社共催)の催しとして「獅子・曳山囃子鑑賞会」が越中八尾観光会館で行われ、寒
げいこの成果を披露する。入場無料。
05,02.07 北日本
◆ 優雅・勇壮に郷土の舞 越中八尾冬浪漫開幕

 県内外の伝統芸能の競演やフォーラムを多彩に繰り広げる越中八尾冬浪漫(ロマン)は
六日、八尾町の越中八尾観光会館で開幕した。おわら、こきりこ、秋田県羽後町の国指定
重要無形民俗文化財・西馬音内(にしもない)盆踊りが競演する「民謡セッション」を行
い、約六百人の民謡ファンを魅了した。二十七日まで。北日本新聞社共催。

 初日のみ特別出演した西馬音内盆踊りで幕開けし、囃子(はやし)方が勇壮な太鼓の音
色、にぎやかな歌、笛、三味線を響かせた。色とりどりの布をつなぎ合わせた端縫(は
ぬ)い衣装や浴衣に身を包んだ踊り手が、しなやかな手ぶりと滑るような足さばきで優雅
な雰囲気を漂わせた。

 南砺市(平)の越中五箇山こきりこ唄(うた)保存会は「くわ金」やこきりこ竹などの
素朴な音色に合わせ、情感を込めて歌い上げた。舞台に霧状の白煙が立ち込める中、狩衣
姿の男性がささらを頭上に振りかざしながら、勇壮に踊った。

 フィナーレを飾った八尾町の県民謡おわら保存会は三味線、胡弓、歌などの地方(じか
た)と、浴衣、編みがさ姿の女性、法被姿の男性の踊り手が会場の通路で町流しを演じ、
舞台に上った。石畳の同町諏訪町を描いたスクリーンを背景に優美な舞を披露し、幽玄の
風情を醸し出した。

 開会に先立ち福島順二越中八尾観光協会長が「将来は世界の伝統芸能を招いて開催し、
観光の町・八尾を大きく発展させたい」、梅沢北日本新聞社長は「八尾の輝きを増すた
め、観光協会の壮大な構想に全面的に協力していきたい」とあいさつした。

 民謡セッションは十三、二十七日にも行われ、おわらと五箇山の麦屋節、こきりこ、と
いちんさを演じる。二十日は曳山・獅子囃子鑑賞会、二十六日は越中八尾駅周辺の再整備
をテーマにした中心市街地活性化まちづくりフォーラムがある。


05,02,12- 北日本
◆ 一糸乱れぬ踊りに磨き 冬浪漫控え麦屋節保存会
 13日に越中八尾観光会館ホールで開かれる「越中八尾冬浪漫」(北日本新聞社共
催)の民謡セッションに向け、越中五箇山麦屋節保存会(南砺市下梨・平)は11日、
南砺市下梨(平)の若者センター春光荘で踊りと演奏をけいこした。

 民謡セッションでは、越中おわらと五箇山民謡が共演し、冬浪漫の呼び物になってい
る。同保存会のほか、越中五箇山こきりこ唄保存会(南砺市上梨・平)と越中五箇山民
謡保存会(南砺市上平地域)、富山県民謡おわら保存会(八尾)が出演する。

 この日は、麦屋節の笠踊りや手踊りなどを練習した。哀調を帯びた音色が響く中、地
方と踊り手が息を合わせ、一糸乱れぬ演技に磨きをかけた。セッションでは、麦屋節を
はじめ、早麦屋、古代神、四ッ竹節、長麦屋を披露。メンバーは「麦屋節のよさを多く
の人にPRしたい」と意気込んだ。

 セッションは午後1時からと同3時からの2回。鑑賞料は1人2800円、団体(2
0人以上)は1人2500円。27日も同じ時間帯で行われる。問い合わせは越中八尾
観光協会、電話076(454)5138。

05,02.13- 北日本
◆ 舞に酔い 越中八尾冬浪漫・風の盆ステージ
 おわら演奏と踊りを披露し、風の盆の雰囲気を漂わせる風の盆ステージは12日、八
尾町の越中八尾観光会館で行われ、大勢の来場者を楽しませた。

 毎月第2、第4土曜に開催する年間イベントで、今月中の12、26日は県内外の伝
統芸能が競演する「越中八尾冬浪漫(ロマン)」(北日本新聞社共催)の催しの一つと
して行う。

 県民謡おわら保存会のメンバーが出演し、三味線、胡弓などの地方(じかた)が哀調
を帯びた音色と歌声を響かせた。編みがさ、法被姿の男性が農耕の様子を表した勇壮な
男踊り、浴衣姿の女性がホタルを追う所作を取り入れた優美な女踊りをたっぷりと演じ
た。

 地方のみの演奏、正調や字余りなどさまざまな形式の歌を披露し、おわらの奥深さを
紹介。町流し風に掛け合いの歌も演じ、来場者はうっとりと見入っていた。

 13日はおわらと五箇山の麦屋節、こきりこ、といちんさが競演する民謡セッション
が行われる。第1、第2公演があり、それぞれ午後1時と3時に開演する。

            05,02.15- 北日本
            
◆ 富山の代表民謡競演 越中八尾冬浪漫
 民謡競演やフォーラムを多彩に繰り広げる「越中八尾冬浪漫(ロマン)」(北日本新
聞社共催)の催し「民謡セッション」は13日、八尾町の越中八尾観光会館で行われた。
富山を代表するおわらと五箇山民謡が郷土色豊かに披露され、大勢の民謡ファンを魅了
した。

 今回の「冬浪漫」で初登場となる越中五箇山麦屋節保存会(南砺市下梨・平)は三味
線、胡弓の音色に合わせ、きびきびとした動作で笠(かさ)踊りを披露。踊り手と地方
(じかた)が全員で、祝い事の際に披露される「長麦屋」を朗々と響かせた。

 越中五箇山民謡保存会(南砺市・上平)は「といちんさ」で始まり、かすり、もんぺ
姿の女性が軽快に踊った。牛に荷物を運ばせる牛方が歌ったという「五箇山追分」もテ
ンポ良く演じ、山里の素朴さを漂わせた。

 越中五箇山こきりこ唄(うた)保存会(南砺市上梨・平)は狩衣(かりぎぬ)姿の男
性がささらを振りかざしながら勇壮に踊り、着物姿の女性はしなやかな手ぶりで舞を繰
り広げた。

 県民謡おわら保存会(八尾町)は会場内の通路で町流しを演じながら入場。哀調を帯
びた三味線、胡弓、歌に合わせて、男女の踊り手が洗練された舞を披露した。

 東京から訪れた渋谷展子さん(45)は「各地域の風土が表れた優しげな民謡ばかり。
あらためて富山が好きになった」と話していた。

 「民謡セッション」は「冬浪漫」最終日の27日にも行われる。


05,02.23- 北日本
◆ 曳山・獅子囃子鑑賞会 越中八尾冬浪漫
 県内外の伝統芸能が競演する越中八尾冬浪漫(ロマン)の曳山(ひきやま)・獅子囃
子(ばやし)鑑賞会が20日、八尾町の越中八尾観光会館で行われ、典雅な風情の囃子
や勇壮な獅子舞を繰り広げた。北日本新聞社共催。

 曳山を所有する同町中心部の6町内が、5月の越中八尾曳山祭で奏でる囃子の寒げい
この成果を発表した。各町内が競い合って芸を高めようと毎年開き、12回目。

 曳山の露払いをする鏡町の獅子舞からスタート。笛や太鼓に合わせ、獅子頭を左右に
振りながらエネルギッシュに舞い、やりを手にした獅子とりの子どもたちとの掛け合い
も巧みに演じた。

 曳山囃子は東町、今町、下新町、西町、上新町、諏訪町の順に登場した。ゆったりと
したリズムで大太鼓を打ち鳴らし、三味線や笛で「一の手」「二の手」などの本囃子、
ちょうちん山が各町内に戻る際の「帰り山」などを次々と披露。情感こもった歌を朗々
と響かせた。端唄(はうた)や浄瑠璃などの流れをくむ味わい深い音色と歌声で、来場
者は静かに聴き入っていた。

 「冬浪漫」は26日にJR越中八尾駅周辺の再整備をテーマにした中心市街地活性化
まちづくりフォーラムと、おわら演奏や踊りを披露する風の盆ステージを開催。27日
はおわら、麦屋節、こきりこ、といちんさが競演する民謡セッションを行い、閉幕する。



05,02.27- 北日本
◆ おわらの町整備へ提案 八尾でフォーラム
 県内外の伝統芸能が競演する「越中八尾冬浪漫」の一環として、「駅周辺から考える
八尾のまちづくり」と題したフォーラムが26日、八尾町の越中八尾観光会館で開かれ
た。JR越中八尾駅周辺整備について、東京大大学院生らから「おわらの町」の玄関口
にふさわしい提案が相次いだ。北日本新聞社共催。

 越中八尾駅と町の旧町部は1.5キロ離れている。東京大大学院工学系研究科の西村
幸夫教授と同大学院都市デザイン研究室のメンバーは昨年、駅周辺でフィールドワーク
を重ねて、駅と旧町部の連携を高めるための方策を検討してきた。

 フォーラムでは西村教授とコンサルタント会社「玄」の政所利子代表、都市デザイン
研究室の助手、大学院生が、駅から旧町部に至るゾーンの整備構想についてイメージ図
を示しながら発表した。

 駅舎については、観光案内所とレストランを併設した交流・観光施設、おわらを披露
できる屋根付きステージを周囲に配置することを提案。駅から旧町部への回遊性を高め
る方策としては、立山連峰が望める高台に「眺めの特等席」と名付けたミニ広場を整備
したり、駅前の裏通りに水路や周囲の緑と調和した空間をつくり出したりすべきとした。

 西村教授と政所代表は「土間付きの家がある町並みなど今の魅力を磨いていくべき」
「気軽に井戸端会議ができるカフェを設け、地元住民が日々足を運ぶ仕掛けが必要」と
述べた。

 会場からは「空き家を観光客の休憩所に活用できないか」などの意見が出された。

 フォーラムの詳報は3月2日の北日本新聞朝刊に掲載する。


05,02.28- 北日本
◆ 富山の民謡心行くまで 「越中八尾冬浪漫」閉幕
 県内外の民謡競演やフォーラムを多彩に繰り広げる「越中八尾冬浪漫」は最終日の2
7日、八尾町の越中八尾観光会館で「民謡セッション」を行い、閉幕した。県内外から
370人が詰め掛け、富山の豊かな風土にはぐくまれたおわら、五箇山民謡の風情を心
行くまで満喫した。北日本新聞社共催。

 越中五箇山こきりこ唄(うた)保存会(南砺市上梨・平)は、狩衣(かりぎぬ)姿の
男性がささらを鳴らしながら勇壮に踊った。

 越中五箇山民謡保存会(同市・上平)は軽やかなリズムで「といちんさ」「五箇山追
分」などを披露。越中五箇山麦屋節保存会(同市下梨・平)は三味線、胡弓の音色に合
わせ、きびきびとした動作で笠(かさ)踊りを演じた。

 フィナーレを飾った県民謡おわら保存会(八尾町)は、会場通路で町流しの様子を再
現。石畳の諏訪町通りのスクリーンを背景に哀調を帯びた三味線、胡弓、歌を響かせ、
優雅な舞を繰り広げた。

 群馬県前橋市から観光ツアーで訪れた吉田久江さん(52)は「数年前に群馬でおわ
らを見て以来のファン。哀愁が何とも言えない」と感激した様子。同県沼田市の井熊正
治さん(65)は「どれも素晴らしい。ゆっくり見ることができた」と喜んでいた。

      
      
05,04.01- 北日本
新富山市が誕生 7市町村合併、42万都市に
 富山市と上婦負の7市町村は1日午前零時をもって合併し、新しい富山市が誕生した。
「平成の合併」では昨年11月の南砺市、砺波市に続く県内3例目の合併で、県内の市
町村数は27から21に減少した。新市は人口、面積とも県内の3分の1を占め、日本
海側有数の中核都市としての飛躍を目指す。

 新・富山市は富山市と大沢野町、大山町、八尾町、婦中町、山田村、細入村が新設
(対等)合併した。人口は41万9217人(2月末)となり、金沢市にほぼ肩を並べ
る。海岸部から県境の山岳地域までを市域に抱え、面積は1241.8平方キロと全国
の市で四番目、県庁所在地では静岡市に次いで2番目の広域都市となる。

 新市の本庁舎は現在の富山市役所とし、6町村役場は窓口サービスなどを行う総合行
政センターとなる。合併に伴って7市町村長は失職し、市長職務執行者には旧大沢野町
長の中斉忠雄氏が就いた。

 新市は、合併協議会が策定した新市建設計画に基づき、高度な都市機能と水と緑に恵
まれた自然環境を生かした「環境と創造のゆめ舞台」づくりを進めていく。

 7市町村の最後の日となった31日は市役所や町村役場で閉庁式などが開かれた。1
日は市役所で開市・開庁式が行われる。

      
05、04.02-  北日本
 一層の飛躍を 新富山市が開市・開庁式
 富山地域7市町村が合併した新しい富山市の開市・開庁式が1日、富山市役所で行わ
れ、中斉忠雄市長職務執行者(旧大沢野町長)らがくす玉を割って新市の飛躍を誓った。
旧6町村役場に設置された総合行政センターの開所式もあり、42万人の新県都が第一
歩を踏み出した。

 開市・開庁式は市役所正面玄関で行われ、市職員ら約200人が出席した。中斉職務
執行者は「真の合併は市民が一体感を実感して初めて成し得る。富山地域の歴史や伝統、
文化を継承、発展させるため、誠心誠意取り組みたい」とあいさつ。7地域の新小学1
年生14人とともにくす玉を割った。

 引き続き、中斉職務執行者は職員らの拍手に迎えられて初登庁。119人の新採職員
や幹部職員への辞令交付式、初の部局長会議などで新市の円滑なスタートに万全を期す
よう指示した。

 窓口業務など地域行政の拠点となる大沢野、大山、八尾、婦中、山田、細入の各総合
行政センター開所式では、センター名が書かれた看板の除幕などが行われた。

      
05、05.15-  北日本
◆ 合掌の里「おわら」初披露 春の宵終日にぎわう
 約1カ月にわたって繰り広げられた南砺市菅沼(上平)の合掌造りライトアップイベ
ント「四季の五箇山春の宵」が14日夜で最終日を迎え、「麦屋節」「こきりこ」など
五箇山民謡と越中おわらの競演で盛り上げた。

 合掌造りの世界遺産10周年の節目に合わせ、実行委員会が県内を代表する民謡の競
演を初めて企画した。合掌造りを背景におわらが披露されるのは初めてという。東京や
静岡、愛知からのツアー客ら大勢の観光客が詰め掛け、立ち見客も出た。

 五箇山青少年旅行村合掌の里に設けられた特設舞台に、越中五箇山麦屋節保存会(平
地域)、越中五箇山こきりこ唄保存会(同)、県民謡おわら保存会(八尾)、越中五箇
山民謡保存会(上平地域)が順に出演した。

 県民謡おわら保存会は哀調を帯びた三味線、胡弓と歌声に合わせ、浴衣と編みがさ姿
の女性は優美に、法被姿の男性は勇壮な踊りをみせた。ライトに照らされた幻想的なか
やぶき屋根の姿と一体となり、山里は情緒あふれる雰囲気に包まれた。
05、06.04-  北日本
◆ 富山の魅力、全国へ発信 愛知万博で県の日
 愛知万博(愛・地球博)の「富山県の日」が3日、EXPOドームで開かれ、富山の
雄大な自然と豊富な味覚、多彩な伝統芸能をアピールした。東海、近畿地区の県人会な
ど全国から延べ約5800人が訪れ、会場は終日にぎわった。

 県花チューリップで飾られた特設ステージではおわらやむぎや、こきりこなど富山が
誇る伝統芸能を披露。スティールドラム演奏とチンドンの軽妙な口上で会場を沸かせた。
ステージ両サイドにある300インチの巨大スクリーンには立山連峰や黒部峡谷、各市
町村の祭りなど富山の四季が映し出された。

 記念式典で石井知事が「富山には多くの魅力がある。イベントを通じて富山のことを
知り、ファンになってもらいたい」と述べ、日本国際博覧会協会の後藤隆志事務次長か
ら公式マスコットキャラクター「モリゾー」のぬいぐるみが贈られた。

 来場者参加型の「ふれあいステージ」も開かれ、福光もちつき太鼓保存会のサポート
で来場者がもちつきと太鼓打ちを体験。県民謡おわら保存会のメンバーとの輪踊りにも
多くの来場者が加わった。

 南砺市(井口)出身の中川久さん(67)=愛知県一宮市=は「久しぶりに見る故郷
の踊りに感動した」、和佐田征洋さん(63)=同県豊明市=は「今まで気付かなかっ
た富山の魅力を発見できた。実際に訪れてみたい」と話した。

 県議会観光振興議員連盟(米原蕃会長)の県議約30人、溝口南砺市長と全市議34
人、富山広告協会(梅沢直正理事長)の一行14人も訪れた。北日本新聞社は会場で同
日朝刊を1000部配布した。

      
05,7.2- 北日本新聞社

◆ 1万人清掃は8月21日 富山市の美化大作戦
 富山市は8月21日に、市民1万人以上が参加して市内全域で一斉に清掃活動する
「ふるさと富山1万人美化大作戦」を実施する。1日の定例会見で森市長が説明した。

 事業は合併後、旧市町村にまたがる初の本格的事業となり、ごみのない美しい市域づ
くりを推進するとともに、新市民の一体感醸成につなげる。

 全国から観光客が集まる「おわら風の盆」を目前に控えた八尾地域をメーン会場に設
定。各総合行政センター地域にも主会場を設け、当日の午前7時から9時まで、駅・商
店街周辺や海岸・河川沿い、歩道、公園などで一斉に清掃活動を行う。

 市は各地の自治振興会のほか、各種団体、企業に参加を呼び掛けており、今のところ
1万2000人が参加する見通し。市長は「多くの人が参加し、ともに汗を流すことで、
新市の一体感を体感してほしい」と語った。

05,7.12- 北日本新聞社

◆ おわらの担い手が共演 八尾・各町代表が発表会
 富山市八尾町の県民謡おわら保存会(福島順二会長)のおわら演技発表大会が10日、
同町上新町の越中八尾観光会館で開かれた。各町から新人を中心とした若手の担い手た
ちが演じ、哀調を帯びた風情を漂わせた。

 後継者育成を目的に開き、25回目。おわらを保存、伝承する町中心部の10町内か
ら約220人が出演。各町別にステージ発表し、日ごろの練習成果を披露した。

 胡弓や三味線、太鼓の音色、情感のこもった歌が響き渡る中、編みがさ、浴衣姿の女
性が八尾の四季の情景を表現した新踊りや男女による豊年踊りなどが披露され、詰め掛
けた観光客や地元住民から拍手が送られた。

 保存会演技指導部のメンバーは、6月に愛知万博会場で披露したおわら踊りの模様を
再現し、観客を魅了した。

 8月20―30日に風の盆前夜祭、9月1−3日に風の盆が開かれる。

2004

2004,1.8- 北日本新聞
◆ 冬の八尾におわらの調べ 福島地区初げいこ
 八尾町福島地区で7日、町内のトップを切って、おわら地方(じかた)衆の初げいこ
が行われ、冬の八尾に哀調を帯びた旋律を響かせた。

 同日夜、福島第二公民館に三味線や胡弓を手にした約40人が集まった。曲のさわり
の音色の響き具合を確かめながら、丹念に調弦。「ハイッ」の掛け声を合図に、「歌わ
れよー、わしゃはやすー」と囃子(はやし)が響き、三味線、胡弓の音色、おわら独特
の高い歌声が「坂の町」に流れた。

 1時間余り練習した後、楽器の演奏法やおわらを話題に談笑した。

 同町内には11カ所の県民謡おわら保存会支部があり、各支部で年間を通じて練習に
打ち込み、伝統芸能の技を磨き上げる。

 他の10支部でも今月から2月にかけ、練習が始まる。
2004,1.15- 北日本新聞
◆ おわらと五箇山民謡競演 来月、八尾でイベント
 越中おわらと五箇山民謡の競演で、冬の八尾を熱く−。越中八尾観光協会と八尾町商
工会は2月1日から29日まで、同町の越中八尾観光会館で、県を代表する民謡を一堂
に披露する「越中民謡セッション」や、「まちづくりシンポジウム」などを盛り込んだ
一大イベント「越中八尾冬浪漫(ロマン)」を繰り広げ、民謡のメッカ・富山を広くア
ピールする。北日本新聞社後援。

 目玉の「セッション」は、越中八尾観光協会と五箇山観光協会がタイアップ。両観光
協会の働き掛けで、越中五箇山こきりこ唄(うた)保存会(平村)、越中五箇山麦屋節
保存会(同)、越中五箇山民謡保存会(上平村)、県民謡おわら保存会(八尾町)の4
団体がそろい踏みする。

 初めて企画した昨年は1日のみだったが、今回は開幕日の2月1日を手始めに、いず
れも日曜日の8、22、29日の計4日間に拡大。各日とも午後3時に開演し、といち
んさ、麦屋節、こきりこ節、越中おわら節などを響かせ、優雅な踊りを披露する。

 伝統芸能を活用した観光振興やまちづくりをテーマとするシンポジウムは21日に開
き、慶応大教授で内閣府特命顧問の島田晴雄氏が基調講演。島田氏、芥川賞作家の新井
満氏、国土交通省の金澤悟観光部長、越中八尾観光協会の福島順二会長、ダイヤル・サ
ービス(東京)の今野由梨社長が意見を交わす。クリエイティブ・グルーヴィ(金沢
市)のプランニングディレクター、高峰博保氏が司会を務める。

 曳山(ひきやま)・獅子囃子(はやし)鑑賞会(15日)、おわら踊りや演奏を披露
する「風の盆ステージ」(14、28日)なども行う。

 「セッション」の入場料は団体(20人以上)2250円、個人2500円。問い合
わせは越中八尾観光協会、電話076(454)5138。

2004,1.20- 北日本新聞
◆ おわら核に観光振興 八尾で23日保存活用委発足
 県内を代表する民謡・おわらを核にした観光、商業活性化策を探る「八尾町伝統芸能
保存活用検討委員会」(仮称)が23日、発足する。

 同町では8月20日から30日まで11日間の「おわら風の盆前夜祭」と、9月1日
から3日の「風の盆」本番を通じ、30万人余りの観光客が訪れる。

 一方で、町内での宿泊客が少ないことなどから、旅館や商店に観光客を誘導する方策
が課題として指摘されてきた。

 同検討委は、県と町の働き掛けで発足し、県民謡おわら保存会、越中八尾観光協会、
八尾町商工会、町などの実務者、県関係者ら計十数人がメンバーになる。おわらの情緒
を守り育てながら観光、商業活性化に活用する方策や、新たなイベントを創出できない
か検討し、通年・滞在型観光を推進していく。

 23日の初会合では現状の課題を整理。3月まで計5回程度会合を開き、提案をまと
める。
2004,2.16- 北日本新聞
◆ 伝統の芸能 春の風情 越中八尾冬浪漫

 おわらや五箇山民謡など県内の伝統芸能が競演する「越中八尾冬浪漫」(北日本新聞社
後援)の催しとして、曳山・獅子囃子鑑賞会と獅子舞競演会が十五日、八尾町の越中八尾
観光会館で行われ、八尾の春の祭礼を彩る伝統芸能が典雅な風情を漂わせた。

 囃子鑑賞会には、五月の越中八尾曳山祭で練り回す曳山を所有する諏訪町、東町、今
町、下新町、西町、上新町の計六町内の曳山保存会と、曳山の露払いを務める鏡町獅子保
存会が出演した。

 「一の手」「二の手」などの本囃子や、ちょうちん山が地元町内に引き返す際の「帰り
山」などを次々と披露。大太鼓の大音と「コーリャ」などの掛け声に合わせて、三味線と
笛が抑揚のある多彩な調べを奏でた。「猛き心は虎(とら)の雄の…」などの歌を朗々と
響かせ、優雅さと勇壮さを兼ね備えた雰囲気を醸し出した。約四百人の来場者は手拍子を
打って、伝統芸能の味わいを心ゆくまで楽しんでいた。

 獅子舞競演会には、福島青年親交会と福島青年会、薄島獅子保存会の三団体が出演。伏
せた姿勢からジャンプしたり、体を反転させるなど躍動感あふれる舞を披露した。獅子と
りの児童による傘踊りも交え、会場を沸かせた。

 囃子鑑賞会は伝統芸能の継承を目的に開かれ、今年で十一回目。獅子舞競演会は初めて
の開催となる。
2004,2.17- 富山新聞
松本勘玄、9歳で八尾に足跡 戸籍謄本に「入籍ス」 町文化協会が調査

 八尾町のおわら風の盆に胡弓を持ち込んだとされる松本勘玄は、これまで二十歳で八尾に来たとされていたが、九歳の時に既に八尾町に足跡を残していたことが十六日までの八尾町文化協会の調査で分かった。同町役場に残っていた戸籍謄本から判明した。

 同じく勘玄の足跡調査をしている輪島市文化協会、輪島市教委が同日、八尾町を訪れ、意見交換した席で明らかになった。謄本によると、勘玄は一八七九(明治十二)年三月に生まれ、八八年(同二十一年)六月、九歳の時に「亡松本勘平長男入籍ス」と記されている。

 これまで勘玄は輪島市に生まれ、父勘平について輪島塗の仕事をしていたが、十五歳で大阪に出て旅芸人の修業をし、二十歳で八尾町の資産家の婿養子になった―とされていた。

 町文化協会の宮本壽夫理事長によると「いわば言い伝えに近かった勘玄の生涯が公文書で明らかになったのは初めてだろう」と話している。

 また、宮本理事長は勘玄のひ孫、松本恵子さん(富山市在住)や勘玄の妻より(故人)のおいである婦中町の柏木清一さんらを訪ね、八尾町で行われた浄瑠璃大会の資料を確認した。昭和初期に開かれたと思われる大会の式次第には「松本越登軒(えっとけん)」の芸名が残されていた。「越」と「登」の文字に、旅芸人として八尾に居着かなかったとされる勘玄が富山と能登を故郷として心にとどめていたことがうかがわせる。

一足早く昨年の?「八尾曳山祭り」(昨年5月4日の北日本新聞)
◆ 江戸の粋、坂の町練る 八尾曳山祭
 ゴールデンウイーク後半の3連休がスタートした3日、県内は好天に恵まれ、各行楽地
などは大勢の人でにぎわった。
 八尾町では、江戸時代の町人文化の粋を伝える越中八尾曳山祭が町中心部で行われ、彫
刻や彫金を施した曳山六基が優雅に練り回された。多くの観光客が訪れ、カメラやビデオ
で盛んに撮影していた。
 獅子舞とみこしを先頭に、六基が下新町、西町、上新町、諏訪町、東町、今町の順番で
聞名寺前に勢ぞろい。法被姿の若衆らが「ほうりきのみっつのようかんぼう」の掛け声に
合わせて綱を引くと、重厚なきしみ音を発して動き出した。三味線や笛、太鼓が奏でる曳
山囃子を響かせ、西側から進んで東側に下りる「西上り」のコースで進んだ。
 夜には無数のちょうちんをつり下げて練り回し、幻想的なムードを漂わせた。

◆ 曳山テーマに研究 「八尾学」講座スタート
 八尾町に根付くおわら、曳山(ひきやま)などの伝統文化や豊かな自然を「八尾学」と
して総合的にとらえ、研究する公開講座が3日、八尾高校でスタートした。豊かな地域資
源を受け継ぐ八尾の謎を解き明かしていく初めての試みで、初回は、日本ペンクラブ会員
で小説家の桐谷正さん(同町西町)が「八尾曳山の謎」と題して講演した。
 桐谷さんは、曳山祭が江戸期に中断せずに続いた背景として、八尾が町人の豊富な財力
で米の取れ高の100%に相当する年貢を富山藩に納めていた事実を挙げ、「八尾は藩から
一目置かれる存在だった」と強調。「町人たちの力の集大成が曳山」と、先人の功績の大
きさを力説した。
 中国の故事などを題材とした彫刻や金工、漆工など職人芸の粋を集めた文化性や美意識
も高く評価した。
 受講生31人は講演後、町中心部で開催された曳山祭を見学した。
 公開講座は引き続き、10月までの計4回、高山植物の宝庫・白木峰や「おわら風の
盆」、養蚕をテーマに開催する。

      
    
◆ 新作舞台の成功祈願 風間杜夫さんら八尾へ
 松竹が八尾町の「おわら風の盆」を舞台にした演劇作品「風のなごり」を制作し、6月
4日から東京・新橋演舞場で上演する。主演の風間杜夫さんと、多岐川裕美さん、匠ひび
きさん、浄瑠璃の流派の一つ、新内(しんない)の人間国宝、新内仲三郎さんらが3日、
曳山(ひきやま)祭に合わせて同町を訪れ、制作発表した。
 物語は昭和35年。新内の名手だった入江俊太郎(風間)は借金に追われ、地方を逃
げ回っていた。八尾を訪れた入江は、かつての恋人で胡弓の奏者、幸原琴子(多岐川)と
再会。過去の複雑な思いが八尾で交錯する。新内さんの演目「風の盆VS新内流し」が題
材になった。
 同町東町の椿亭で、脚本を手掛けた金子成人さんが「大人のラブストーリー。風の盆が
人生のつらさ、悲しみを癒やす」と語った。風間さんは「入江は八尾で生き方を立て直し
ていく。八尾のにおいを覚えて帰りたい」と話した。
 県民謡おわら保存会の地方3人が、おわら節を披露。胡弓の名手として出演する多岐川
さんは「すてきな音色ですね」と哀調を帯びたメロディーに聴き入っていた。
2004,3.10- 北日本新聞
◆ 越中おわら皇居で披露 天皇陛下の古希を祝う会

 天皇陛下七十歳の古希を祝う皇后さま主催の行事として、十四日に皇居内の音楽ホール
「桃華楽堂(とうかがくどう)」で行われる民俗芸能公演会に、八尾町の県民謡おわら保
存会(福島順二会長)が出演する。

 宮内庁が日本古来の生活、農耕、漁労にまつわる全国各地の民謡や踊りを選定。越中お
わら節のほか「アイヌ古式舞踊」(北海道白老町)、「秋保(あきう)の田植踊」(仙台
市)、「車大歳(くるまおおとし)神社の翁舞」(おきなまい)(神戸市)、「音戸の舟
唄」(広島県音戸町)、「伊予万歳(まんざい)」(愛媛県北条市)、「奄美の島唄」
(鹿児島県宇検村)、「沖縄の歌と踊り」(那覇市)の計八団体が決まった。

 当日は天皇、皇后両陛下がご覧になり、皇族や旧皇族、親族など約百七十人が招かれ
る。

 公演は一時間半で、おわら保存会は二番目に登場。えりすぐりの熟練奏者、歌い手、踊
り手計十人が約十分間「八尾四季」など六曲を披露する。三味線を担当する保存会演技指
導部総括部長の吉川春之さん(59)=天満町=は「大変な名誉。短い時間だが、おわら
の風情や魅力を凝縮してお見せしたい」と話している。

2004,3.16- 北日本新聞
◆ 皇居におわらの響き 天皇陛下の古希祝う


 天皇陛下七十歳の古希を祝う民俗芸能公演会が十四日、皇居内の音楽ホール「桃華楽堂
(とうかがくどう)」で行われ、八尾町の県民謡おわら保存会の十人が熱演した。

 公演会は皇后さま主催の行事で、両陛下と皇太子さま、紀宮さま、秋篠宮ご夫妻ら皇族
方、旧皇族、宮内庁幹部など百四十三人が観覧。静養中の皇太子妃雅子さまは欠席され
た。

 おわら保存会は、皇室の菊のご紋にちなみ「菊の香りに越路は晴れて…」の歌から入っ
た。哀調を帯びた三味線、胡弓の音色、かん高い歌声がホールいっぱいに響き渡った。

 踊り手がホタルを追う所作を採り入れた優美な女踊り、農作業の様子を表した勇壮な男
踊り、豊年踊りを次々と舞い、演奏と踊りが一体になったおわら独特の風情を漂わせた。

 両陛下の健康を願い、「あなた百まで わしゃ九十九まで 共に白髪のおわら生えるま
で」の歌で締めくくった。

 このほか、「アイヌ古式舞踊」(北海道白老町)、「秋保(あきう)の田植踊」(仙台
市)、「車(くるま)大(おお)歳(とし)神社の翁(おきな)舞(まい)」(神戸市)
など日本を代表する七つの伝統芸能が披露された。

 公演後、天皇陛下が全出演者に「それぞれの地域で伝統芸能を守ってください」と励ま
され、皇后さまはおわら保存会に「(風の盆には)たくさんの人がいらっしゃいますね」
などと声を掛けられたという。

 観覧席で見守った福島順二会長は「日ごろの練習成果を百パーセント発揮し、素晴らし
いおわらを披露できた」、出演者は「最高の舞台で演じた感激を胸に刻み、一層精進した
い」と話していた。


2004,4.16-  北日本
◆ 林秋路氏の作品一堂に 八尾町曳山展示館を増築

 八尾町曳山(ひきやま)展示館(越中八尾観光会館)増築工事の完成式が十四日、同町
上新町の同展示館で行われ、俳人版画家・林秋路氏(故人)のおわらをテーマにした作品
や養蚕の歴史を示す道具類、曳山部材を展示する新たなスペースがオープンした。

 上新町、諏訪町、西町、東町、今町、下新町の六町内で所有する曳山六基のうち三基を
飾る展示館に、鉄筋コンクリート一部木造平屋建ての三棟(計六百三十平方メートル)を
建て増しした。総事業費は二億二千五百万円。

 林氏の作品は、二女の淑子さん(70)=上新町=から借り受けた約五十点。女性の踊
り手を繊細に描いた城ヶ山花見のおわらや曳山のほか、色鮮やかな黒部峡谷を表したス
ケッチ集、創作活動への思いをつづった日記など林氏の足跡を示す貴重な品々がそろって
いる。

 養蚕をテーマにしたコーナーには、明治時代に最盛期を迎えた町内の製糸工場の一覧や
年表、糸紡ぎ器、糸繰機などの道具類を展示し、養蚕や製糸業がもたらした豊かな富で曳
山などの伝統文化が生み出されたことを紹介している。

 鳳凰(ほうおう)の羽根や鯱(しゃちほこ)など曳山の部材、曳山の全体像を紹介する
パネルも展示した。

 式では、吉村町長が「観光拠点施設として新たなにぎわい創出に寄与したい」とあいさ
つ。宮本光明県議と本多哲三町議会議長が祝辞を述べた。福島順二・越中八尾観光協会
長、栃山栄作・町曳山保存会長、林淑子さんらが加わり、テープカットした。

 十七日まで入場無料。



2004,8.19-  北日本
◆ あすから風の盆前夜祭 29日に「のど自慢」
 八尾町のおわら風の盆前夜祭は20日から30日までの11日間、同町中心市街地で
行われる。

 混雑の分散化を図るため、これまで県民謡おわら保存会支部がある11町内が1町内
ずつ日替わりで演じてきた態勢を一部改め、29日を除く土、日曜日の3日間は2町内
に演じてもらう。

 「風の盆」最終日の3日に行われていた「おわらのど自慢コンクール」(北日本新聞
社共催)は今年から「前夜祭」に移し、29日午後1時から、町社会体育館で行う。入
場無料。

 日程は次の通り。

 ▽20日=西新町▽21日=今町、東町▽22日=上新町、越中八尾観光会館前ステ
ージ▽23日=福島▽24日=諏訪町▽25日=西町▽26日=鏡町▽27日=天満町
▽28日=東新町、西新町▽29日=東町▽30日=下新町
      
    
2004,8.21  北日本
◆ おわら風情一足早く 風の盆前夜祭開幕
 八尾町の「おわら風の盆前夜祭」が20日夜、西新町をトップに始まった。哀調を帯
びた三味線、胡弓の音色と歌声に合わせて優雅な踊りが披露され、大勢の見物客が一足
早くおわらの風情に浸った。

 9月1日から3日までの「風の盆」に先立つ恒例行事で、23回目。30日までの1
1日間、町中心部にある県民謡おわら保存会11支部が日替わりで、午後8時から10
時まで町流しや輪踊りなどを披露する。人出が集中する土、日曜の3日間は2支部が演
じ、混雑を緩和する。

 初日は西新町支部のメンバーがそろいの法被や浴衣をまとって登場。格子戸の町家が
並ぶ通りにぼんぼりがともる中、地方(じかた)が奏でる三味線、胡弓、甲高い歌声が
響き渡った。青年男女が指先にまで神経を配りながら勇壮な男踊り、優美な女踊りを演
じながら町流しをし、見物客のため息を誘った。

 「風の盆」最終日の9月3日に行われていた「おわらのど自慢コンクール」(北日本
新聞社共催)は今年から「前夜祭」に移し、29日午後1時から町社会体育館で行う。
入場無料。

      
    
2004,8.30-  北日本
 中林さん(富山)最優秀 八尾・おわらのど自慢
 第57回おわらのど自慢コンクール(県民謡おわら保存会主催、北日本新聞社、NH
K富山放送局共催)が29日、八尾町社会体育館で開かれ、県内外から参加した42人
が美声を響かせた。出場者の中で最高となる秀位3席に、中林光雄さん(54)=富山
市西押川、会社員=が選ばれた。

 県内から30人、東京、神奈川、石川県など県外から12人が出場。おわら保存会演
技指導部メンバーらの三味線、胡弓、囃子に合わせて、正調や字余りのおわらを個性豊
かに歌い上げた。会場には約1200人が訪れ、熱唱に聴き入った。

 おわら保存会の福島順二会長をはじめ、同顧問の井野下堅佑さん、同演技指導部顧問
の杉崎茂信さん、上木秋徳さん、桐谷正治さん、大西明さんの6人が歌唱力や表現力な
どを基準に審査。予選を通過した9人が決勝で争い、秀位3席と優位の1−5席の計6
人が選ばれた。秀位1、2席は該当者がいなかった。

 表彰式では、福島会長が入賞者におわら保存会、北日本新聞社、NHK富山放送局の
カップや賞状を手渡した。秀位3席の中林さんは「平常心で、気持ち良く歌うことがで
きた。来年は秀位1席を目指したい」と笑みをこぼした。

 長年審査員を務めた乗山百合子さん、伯育男さん、上田省三さんに同保存会から感謝
状が贈られた。

 コンクールはこれまで「おわら風の盆」最終日の9月3日に行われていたが、今年か
ら「風の盆前夜祭」期間中に移された。


2004,8.31-  北日本
あすから「おわら風の盆」 町流しやステージ演舞
 八尾町の「おわら風の盆」が9月1日から3日まで、町中心部で行われる。沿道がぼ
んぼりで彩られ情緒を醸し出す「坂の町」を舞台に、県民謡おわら保存会の11支部
(町内)がそれぞれ、哀調を帯びた歌、三味線、胡弓の音色を響かせ、町流しやステー
ジでの演舞を繰り広げる。

 1、2日は町流しが午後3時から同11時まで。八尾小学校グラウンドの「おわら演
舞場」では、午後7時から同9時(2日は同9時半)まで、各支部別に演じる。1日は
西新町、天満町、東町、諏訪町、鏡町の5支部、2日は福島、西町、東新町、今町、上
新町、下新町の6支部が出演する。指定席(5500席)は1日が900枚、2日分が
1600枚残っている。自由席(入場料1500円、4050席)は当日午後5時から
八尾小学校正門で発売する。

 越中八尾駅前、下新町八幡社、東町・八尾ふらっと館、曳山展示館(越中八尾観光会
館)前、西町・オレンジマート駐車場の5カ所にも特設ステージを設け、夕方から深夜
にかけて演じる。

 最終日の3日は町流しが午後7時から同11時まで行われる。

 雨の場合は、町流しや演舞などの行事はすべて中止する。

 曳山展示館では1、2日の午後2時から同4時まで踊り方教室を行う。入館料は大人
500円、子ども300円。

 県内のCATVは、地元のケーブルテレビ八尾が演舞場の様子を生中継するほか、他
局もネットワークを通じて放送する。

 おわら演舞場の指定席券購入の問い合わせは町商工会、電話076(455)318
1。
2004,9,1-  北日本
◆ 待ちきれずに踊りの輪 1日からおわら風の盆
 「おわら風の盆」が1日、八尾町中心部で始まる。三味線、胡弓、歌などの地方(じ
かた)衆は本番を待ちきれず、31日深夜から1日未明にかけて町へ繰り出し、哀調を
帯びた音色を響かせた。

 31日夜は、県民謡おわら保存会支部がある11町内で、地方や踊り手が総仕上げの
練習をした後、地方衆のグループが町流しをした。

 下新町では、地方衆や踊り手が午後11時すぎ、町に出始めた。静寂な雰囲気が漂う
八幡社境内で、情感のこもった三味線、胡弓の音色を響かせながら、浴衣姿の女性らが
輪踊りをし、本番へムードを高めた。

 1日は午後3時に各町内で町流しが始まり、同7時から八尾小学校グラウンドのおわ
ら演舞場ステージで演奏や踊りを繰り広げる。

      
2004,9.2-  北日本
◆ 哀調つむぐ舞 八尾「おわら風の盆」開幕
 八尾町の「おわら風の盆」が1日、町中心部で幕を開けた。210日の風封じと豊作
を祈り、3日3晩、歌と踊りを繰り広げる。例年より少ない6万人の観光客が坂の町を
包む三味線や胡弓の音、情感たっぷりの舞に酔いしれた。

 県民謡おわら保存会支部がある11町内は午後3時から町流しや、JR八尾駅前など
の特設ステージで演舞。例年より観光客の出足は遅かったが、日が暮れ、通りのぼんぼ
りにほのかな明かりがともるにつれ、通りが込み合った。

 哀調を帯びた地方の音色と歌声が情緒ある町を演出。つやっぽい女踊りや勇壮な男踊
りにじっくりと見入った。

 午後11時ごろ、行事が終わった後も、各町内で地方や踊り手がグループを組んで町
流しへ。それぞれのおわらを堪能した。

 2日は午後3時から町流しがスタート。同7時から八尾小グラウンドで「おわら演
舞」があり、同保存会の6支部が競演する。



      
    
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◆ 人出2万人減の6万人 台風などでキャンセルか
 八尾町の「おわら風の盆」初日の来場者は6万人で、昨年の8万人を2万人下回った。
越中八尾観光協会関係者は、西日本に大きな被害をもたらした台風16号でキャンセル
が相次いだほか、アテネ五輪や、「冬のソナタ」など韓国ドラマブームで国内旅行が全
体的に不振になったことなどが影響したとみている。

 八尾小学校グラウンドのおわら演舞場は、これまでになく空席が目立った。例年は自
由席券が発売される1時間前から長い列ができ、すぐ売り切れたが、今年は発売時間に
なって観光客が買い求めに訪れるなど、出足が鈍かった。指定席券5500枚は完売し
たものの、自由席4000席のうち千席が売れ残った。町関係者は「こんなことは初め
て」とため息をついた。

 一方、町中の通りに人があふれかえる光景は少なくなり、町流しや輪踊りが比較的ス
ムーズに行われた。おわらの演じ手らは「観光客数が適正規模に収まった方が、おわら
の魅力を発揮できる」、観光客も「踊りをじっくり見ることができた」と喜んでいた。

 ただ、最終日の3日は金曜日に当たるため、観光協会関係者は「週末を目掛け、人出
が集中する可能性がある」と、過度の混雑を警戒している。

      
    
2004,9.4-  北日本
◆ 未来の担い手堂々と 八尾小児童がおわら発表
 八尾小学校児童が3日、越中八尾観光会館前の特設ステージで大人顔負けの踊りを披
露し、集まった大勢の観客をうならせた。同校が町の伝統文化に理解を深めてもらおう
と初めて企画。小林福治校長は「素晴らしい伝統があることを知り、担い手になってほ
しい」と話した。

 出演したのは3−6年生の希望者約100人。昨年4月の小学校統合で同校に通って
いる中山間地の児童も参加した。八尾小では毎年7月の龍蟠(りゅうばん)夏祭りで全
校生徒がおわらを踊っており、今年も一学期から保存会のメンバーの指導を受けてきた。
児童は情感たっぷりの踊りを披露し、観客から惜しみない拍手が送られた。

 長野県豊野町から訪れた宮本重信さん(74)は「小学生とは思えない本格的な踊り
で感心した。素晴らしい後継者が育ってくれてうれしい」と話した。

      
    
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◆ 観光客減少傾向 「風の盆」閉幕
 八尾町の「おわら風の盆」は3日、閉幕した。3日間の来場者は計約20万人で、昨
年より3万人減った。3年前から減少傾向が続いていることから、毎回恒例の混雑を観
光客が敬遠し始めたとの見方も浮上している。一方、演じ手、観光客は共に「人出があ
る程度抑制された方が、おわら本来の魅力が発揮される」と好意的に受け止めていた。

 来場者は平成6年に24万人を数えて以来、20万人以上のレベルで推移。12年に
は30万人とピークを迎えたが、13、14年はいずれも25万人、15年は23万人
と減少に転じた。

 今年は1、2日がいずれも6万人。3日は金曜日ということもあり、8万人と盛り返
したが、3日間のトータルでは昨年を下回った。

 このため、路上での町流しが人混みに遮られて中断するケースは少なくなり、観光客
からは好評だった。埼玉県から訪れて四回目になる男性(55)は「これまでの混雑が
異常。今回は歩きやすく、落ち着いて見られた」と喜んだ。

 県民謡おわら保存会関係者は「見る方も、演じる方も満足できるおわらに近付いたの
では」と話していた。