待ち合わせ



 あたしは、少し待った。

 時間にして3分程度だか・・・。

 (ん、走ってきた 走ってきた)

 あたしが立っている待ち合わせの場所まで、彼は懸命に走ってきた。

 「ちょっと、あたしを待たせて、ひどいじゃない」

 彼は息が上がっていて、両手を膝の上について体全体で呼吸をしていた。そのおかげで、全くしゃべることが出来なかった。

 「だって、時間的に、間に合うのがギリギリなんだよ・・・・」

 息がまだ上がっていたので、‘ハァ ハァ’と荒い呼吸の合間になんとかしゃべった。顔が下を向いたままだったので、よほど辛いのだろう。

 「ところで、何の前触れも無く呼び出して、何?」

 顔は上がっていたが、息もまだ上がっていた。

 「何って・・・天気が良いからに決まってるじゃない。それに『暇?』って聞いたら『うん』って言ったじゃない」

 あたしは両手を腰に置いて、上から見下ろすように彼に言った。

 彼はその勢いに負けたのか、力が抜けたのか、それとも本当に疲れてしまったのか、地面に‘ペタン’と座り込んでしまった。

 「うふふ、ごめんね」

 あたしは、あらかじめ買っておいた(彼が時間に間に合わないことは、既に計算済みなのだ)ペットボトルのスポーツドリンクを、彼の前に差し出した。

 彼は、大きく息を吐くと、ペットボトルを取ろうと手を伸ばしてきた。

 それを見てあたしは、ペットボトルを持っている腕を引いて、代わりに自分の腕を出して彼の手を掴むと、そのまま彼を引っ張り上げて立たせた。

 「あたしはね・・・あたしの無理や我がままに付き合ってくれる、あなたが好きなの」

 ちょっと強引に引っ張り上げたので、彼との距離は鼻に息がかかるほどだった。近くで見ているせいか、彼の顔の色が段々赤くなるのが分かった。

 「変な意味で捉えたら、ごめんなさい。そんな意味じゃないのよ。あたしは、自分の我がままに付き合ってくれるから、あなたが好きじゃないのよ。あなたのその一生懸命なところが好きなのよ」

 あたしも、言ってて恥ずかしくなってきて熱くなってきた。

 何も考えず、持っていたペットボトルのキャップを空けて、一口 二口とスポーツドリンクを飲んだ。

 「ん?待ってて熱くなったから、少しもらっちゃった。ゴメンね・・・あなたの物なのに・・・。残りは全部飲んで」

 かなり強引に、自分で自分を否定してみた。

 あたしは、飲みかけてしまった(ちょっと反省・・・m(__)m)ペットボトルを彼に差し出した。

 彼は、それを受け取ると口まで運んだが、飲む寸前で止めてしまった。

 「その」状況がやっと理解できたのか、顔がまたみるみる赤くなってきた。

 (もう一つ。そんなピュアところも好きなのよ)











―あとがき―


 今回の制作コンセプト(笑)はズバリ『ガンダムW』のエンディングテーマ。

 あの歌、「かなり強引な感じの女性の歌」ですよね・・・?(私はそう感じましたが・・・、汗)

 歌詞の始めが『前触れも無く呼び出すの 天気が良いから』 『私を待ちぼうけさせて 何様のつもり?』ですよ〜。

 この歌にサブ・タイトルがあるとすれば、『リリーナ様に捧げる』になっていてもおかしくないです。(笑)

 まぁ、歌の最後で『好きだから無理なことを言っちゃうの』ってことを言ってますから、『好きな子には、ついついちょっかいを出してしまう』ということでまとめているのだと思います。
(でもこの歌、最後のこれがないと、ただの高飛車女の歌で終わってしまうのですよ、汗)

 歌詞を参考にしているのですが、元歌に比べればいくらかはソフトな感じに仕上げたつもりでございます。

 でも、駄文なところは変わってないんですよね(汗) 本人の力量が伴っていないです。



 でも、これで、一区切りつきました。残りはPSOだけ(汗)

 少しは最終勇者に時間を裂けそうです。


 PS
  「あたし」と「彼」は、リリーナとヒイロでは無いことだけは確かです。(笑)




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