勝負!
‘パチィィィィーン・・・’
彼女の打った打球は、高く、真っ直ぐにティーグラウンドから放たれた。
「オ〜ホッホッ」
その高飛車な笑い通り、打球は小川(クリーク)の手前で止まった。
ベストポジション・・・では無かった。彼女なら、川の手前で落ちて止まるような打球ではなく、軽く超えられる打球が打てたはずだ・・・。
(何を考えてるんだ・・・?)
俺は、全く理解出来なかった。
「オホホ 分かってるわよね? あなたが、あと1回ダウンするとコールド負けなのよ?」
〜彼女〜ローズの自身たっぷりの顔を、俺は舌を噛みながら、にらめ返すしか出来なかった。
(ちっ・・・綺麗な花には何とやら・・・ってやつだな)
ローズは、確かに綺麗だった。スイングフォーム、プロポーション、容姿、どれも完璧だった。
「あたしが勝ったら、組織の為に働く約束・・・忘れていないでしょうね?あたしに及ばないでも、四天王を破った実力は買うわ」
ローズは笑みを浮かべて、俺を見た。
(・・・それも悪くないな・・・)
‘美人の下に付くのも悪くない’ 一瞬だが俺はそう思った。
「じょ、冗談じゃない。まだ4ダウンまであと1つあるんだ。このホールで1アップ取れば、2ダウンになる。後半9ホールで、十分巻き返してみせるさ」
「フンッ!生意気なっ。その強気は、ティーショットを打ってからにしてもらいたいわね」
ローズは、腕を組み、つまらなさそうにソッポを向いた。
(くっ・・・。確かにその通りだ)
ドライバーを握りしめ、ローズが飛ばしたあたりを恨めしく睨んだ。
(くそっ・・・。なんて微妙な位置に落としてやがるんだ。俺の飛距離(空中移動距離+落ちて転がって進む距離)と同じじゃね〜か・・・。狙いは、それだったのか?)
舌打ちが聞こえたのかどうか、まったく分からないが、ローズは不敵な笑みをうかべて俺のほうをじっと見ていた。
『飛距離が同じ』ということは、大体ローズと同じ所に落ちる。しかし、それでは、「ローズを超える」ことはできない。
ゴルフの2打目は、『ピン(又はカップ)までの飛距離が遠かった人』順(詳しくは少し違うと思いますが、笑)に打つ。俺は、どうしてもローズより飛ばして、ローズの2打目を参考にグリーンを狙いたかった。
「・・・やってみるか」
意を決して、俺はスタンスを構えた。
‘フゥ〜ッ・・・’
深呼吸を一つして、ドライバーを振りかぶると、一気にボールに向けて振り下ろした。
‘パチィィィーン・・・’
「芯、捉えたっ!行け〜っ」
今まで感じたことの無いインパクトだった。ボールとドライバーの両方の真芯を捉えると、インパクトの瞬間が全然違っていた。
「超えろ、ローズの打球!超えろ、クリーク!」
俺は、ドライバーを打った方向に突き出して、叫ぶように祈った。
「おやおや・・・?届くといいねぇ」
ローズの言うとおり、川の手前まで来て、ボールは急に失速し始めた。
「超えてくれ・・・頼む・・・!」
ボールは無常にも川に吸い込まれた・・・ように見えた。
‘カツーン’
奇妙なバウンドをして、ボールは川を超え、反対側のフェアウェイに落ちた。
「???何だ・・・?とりあえず助かった」
全身の力が抜け、俺はぺタリと地面に倒れこんでしまった。
「チッ・・・ついてるじゃなか、坊や。舗装してある川で良かったわねぇ」
ボールは川の土手部分の舗装に当たり、バウンドして運良く川を超えたのだ。
「よっしゃ〜。ツキは俺に向いているっ。このホール、取るぞ」
俺は高く飛んで、まるで優勝したかのようにガッツポーズを決めた。
「フンッ・・・。そんなセコいゴルフじゃ、あたしに勝てないわねぇ・・・。よく四天王を破ったものだよ」
強気なローズの言葉だった。
(背中を見せて言っているのは、表情を読まれたくないからか?)
悔しがっている(と思う)ローズの表情を想像して、俺はローズ打ったボールのところへ早めに行った。先に打たれてしまうと、参考にならない。ローズなら、俺が到着する前に打ちかねないからだ。
(2打目もカップの内側、しかもローズのライン上に落として、2ダウンだっ!)
幸運の風が吹き抜けるのを、俺はハッキリと感じた。
―あとがき―
ゴルフです。この歳になって、ゴルフの面白さが解るようになりました。
『みんなのゴルフ』 ありがとう(笑)
じゃあ、何でこの時期なのかと言えば、「フジサンケイレディス」が開催されていたからです。
しかも、ボールの落下点から次のショットの状態を確認するのに『みんなのゴルフオンライン』と使っているではないですか!
みんゴルファーとして嬉しかったです。そして、持ってない悔しさも味わいました。
後発のPS2の性能の高さが、うらやましいです。後部の拡張ベイが、ス・テ・キ(笑)
初期の旧タイプはハードディスクにLANが付いてるモデルだからなぁ・・・。しかも店頭じゃなくてサイトで購入しなきゃならん・・・。
しかし、そんな不満もあるが何時か購入しそうな感じ^^
尚、ローズの声の担当は『折笠 愛』さんです。高飛車お姉様ボイスが、イメージにピッタリです。さすがはSCE^^
今回は駄文+ゴルフ用語で大変読みにくいと思います。(反省 m(__)m)
そこで、簡単ではございますが、ゴルフ用語の解説を巻末に設けます。
羽根じょうご的ゴルフ用語
ほとんど『本当』のことが書いてありますが、部分部分で『独自の解釈』が含まれています。
間違っても参考なんかにしないで下さい。(笑)
ティーグラウンド
第1打目を打つところ。一段高い(はず、汗)
ティーショット
ティーグランドから打つ第1打目のこと。ちなみにティー(ボールを立たせる道具)は、使っても使わなくてもいいらしい。また、ティーを縦に2個重ねて使ってもいいらしい・・・。
クリーク
基本的にフェアウェイを流れる小川のこと。たしかウッドクラブでもクリークってあったような・・・?(5番ウッド?)
アップ、ダウン
ゴルフのプレーの方法の一つ、『マッチプレー』でのルール。マッチプレーとは、基本的に1対1の勝負で、「先にボールをカップに入れたほうが勝ち」というルールです。当然、少ない打数で ですが・・・。
勝つと1アップになり、負けたほうが1ダウンとなる。18ホール回って、一番勝ち星(つまり、アップの数)が多い人が勝ちというルール。
ちなみに、普段TVなどで放送しているのは『ストロークプレー』です。ご存知の通り、一番少ない打数で、18ホールを回った人が勝つルールです。
コールド
みんなのゴルフでの特別ルール。『相手に4アップ差をつければ、18ホール回らなくても
勝ち』というルール。実際のゴルフでは、相手が残りのホール全てをギブアップしてしまわない限り、18ホール回る。(はず、汗)
ドライバー
1番ウッドのこと。ウッド(木)ってことは木製なんだけど、最近では、チタン製のほうが目立ちます。TVやゲームでは、『1W』で表記されることが多いかな?
フェアウェイ
芝が生えてて、綺麗に刈り込んであるところ。一番広いクセになかなか落とせない場所でもある。(笑)
ちなみに、綺麗に刈り込んでなくて、草ボーボーの(ちょっと大げさな表現ですな、笑)芝生は『ラフ』、砂場は『バンカー』です。
グリーン
ゴルフにおける、最終目的地点『カップ』があるところ。フェアウェイ同様、芝が刈り込んであるのですが、なんか違う。(爆) 使うクラブは、ご存知『パター』。
飛距離(空中移動距離+落ちて転がって進む距離)
ゴルフは空中移動距離もそうですが、転がって進む距離も計算に入れないと、キケンです。(笑)
ちなみに空中移動距離を『キャリー』、転がって進む距離を『ラン』と言います。(たしか・・・)
2打目もカップの内側に寄せて、しかもローズのライン上に落として〜
2打目以降は、『ピン(又はカップ)から遠い人順』に打つため、「俺」は絶対に1打目をローズより飛ばさなければならない ってことは作中で説明(詳しくはないですね、汗)しましたが、この場合、『ローズのライン上』ってところがミソなのです。
ローズのライン上=ローズがパットした時のボールの軌跡(ライン)の上に落とせば、ローズのパットを参考に、自分がパッティング出来る訳です。狙って落とすのは難しいですが、カップにより近く、しかも相手のパットを参考に出来るのですから、上手くいけば最強この上ありません。
書庫へ戻る