その他の活動報告


山村振興議員連盟 県外視察 報告 

 

     
日 時 平成24年5月15日(火)~17日(木)
場 所 和歌山県方面

参加者 高平公嗣(会長)稗苗清吉(副会長)菅沢裕明(理事) 坂田光文(理事)山辺美嗣(理事)山上正隆(監事)梶 敬信 横山 栄 上田英俊 神田真邦 井村昭彦 武田愼一 吉田豊史 吉田 勉 瘧師富士夫 藤井裕久 永森直人 宮本光明(事務局長 5月15日(火) ・(株)ユーラスエナジーホールデイングス 有田川ウインドファーム 和歌山県有田郡有田川町 5月16日(水) ・熊野古道 ・農事法人(株)秋津野(秋津野ガルデン) 和歌山県田辺市上秋津4558-8 ・日高川町ふるさと振興公社 きのくに中津荘 和歌山県日高川町高津尾1049 ・和歌山県森林組合連合会 御坊事務所 和歌山県御坊市塩屋町北塩屋280-18 5月17日(木) ・農事法人(有)新岡農園 和歌山県伊都郡かつらぎ町大字窪300 【視察目的】

 山村振興議員連盟では、全国の過疎や人口減少、高齢化等の課題を抱えながらも、中山間地域の資源の活かした先進的活動を 視察し県内の山村振興に結びつけるために県外視察を実施しており、今回は再生可能エネルギーや歴史資源、中山間地域での取 り組みについて視察を行った。

○(株)ユーラスエナジーホールデイングス有田川ウインドファーム

 有田川ウインドファームでは、クリーンエネルギー事業の展開により、環境保全に貢献するとともに地域の発展にも寄与している。

【風力発電事業の概要】  事業規模:総出力13,000kw  総事業費:約35億円  電力供給先:関西電力  風力発電機:1,300kw×10基  操業開始:平成21年12月 【環境面において】

 ・年間予定発電量を一般家庭の年間使用量に換算すると、約7,800世帯分に相当する。
 ・年間の二酸化炭素排出量は、石炭火力発電と比べ約24,800t年の削減となる。
 ・石油火力発電所と比較すると約7,100kl(ドラム缶35,500本)の削減となる。

【感想】

当日は、残念ながら濃霧のため全貌を視察することができなかったが、2日目・3日目と県内の視察中に多くの風力発電施設を見ることができた。
上記にも述べたように、安定的な風力を得ることができれば年間を通して環境面、エネルギー面において社会貢献できる施設と思われるが、設備 投資と安定供給とのコストをどの様に考えるかが大きな課題といえる。
特に、環境省の調査では富山県内には風力発電の適地がほとんどなく、実用化には大きな課題があるが、再生可能エネルギー、省エネルギーの 可能性は今後も探っていかなければならない。

○熊野古道

 次の視察前の時間を割いて世界遺産に登録された熊野古道を視察。
 熊野参詣道は、熊野信仰の道であり古くから黄泉(みよ)の国、常世(とこよ)の国と言われた熊野に向かう道であった。
 12世紀、平安時代の後期には、熊野三山に対する信仰が急速に高まり、鳥羽上皇、後白川上皇、後鳥羽上皇の熊野御幸に代表される熊野詣での 最盛期を迎えた地である。

【感想】

案内を頂いた地元ボランテイアの方からも、世界遺産に登録されたことで多くの来訪者があり、多くの皆さんに熊野古道や熊野詣での歴史を理解して いただくことは、大変うれしいとの声を聞く半面、観光客の増加に伴うマナーや施設整備の課題も多くあるとのことであった。
20分足らず古道を散策したが、解説の素晴らしさと世界遺産の重みを感関することができた。
富山県においても、立山砂防などの世界遺産登録を目指しているが、まずは登録されることに全力を尽くしながらも、多くの観光資源の活かし方を 今後も十分に考えていかなければならないと感じた。

  

【国土保全について】

和歌山県内の河川は、昨年秋の台風災害の爪痕が多く残っており、河川の氾濫による護岸の崩壊、土砂の堆積などを目の当たりにし被害の大きさ をあらためて痛感させられた。
特に熊野古道へ向かう道中、山腹や護岸の崩壊箇所の災害復旧現場を視察することができたが、富山県内においても、山村振興議員連盟や砂防事 業促進議員連盟等々が危険箇所の早期整備を常々要望しており、あらためてその必要性を痛感することとなった。

○農業法人(株)秋津野

 上秋津野地区は、人口3,350人、世帯数1,150世帯の中山間地域の集落ではあるが、混住化が進み若干人口が増加している地域である。
 農事法人(株)秋津野の地域づくりの形態の特筆すべき点は、昭和31年の市町村合併の折に社団法人の上秋津野愛郷会を設立し村有財産を 移管したことに始まり、その後、財産の使用目的を明確に決定し管理してきた。
 また、平成6年には「活力とうるおいのある郷土づくり」を推進し、都会にはない、香り高い農村文化社会の実現を図ることを目標に、 「秋津野塾」を創設し地域内の各種団体組織を網羅する組織となり、塾を中心に地域マスタープランを策定し、住民の手による地域づくりを進めてきた。

 上秋津野愛郷会から秋津野塾に至る間、
・秋津野花祭りや夏祭り、高尾山登山マラソンの開催による新旧住民の出会い交流事業
・上秋津野小学校農業体験学習
・地域住民出資による、秋津野直売所「きてら」の開所
・特産品開発
・秋津野ガルデンによる、食育教育、貸農園、農家レストランや田舎暮らし体験事業
等々、地域の人、物、環境等あらゆる資源を活用して地域の中核的組織として地域づくりの先頭に立つ組織である。

【感想】

地域づくりに取り組む多くの地域や団体を視察する機会に恵まれたが、その都度感じることは核となる人材の存在である。
今回、私たちに説明をしてくださった代表取締役副社長の玉井さんもその一人で、若くして旧NTTを退社し、地域づくりや秋津野塾の運営の 先頭にたておられる。
玉井副社長は、地域資源は人・組織そして産業であり、地域づくりには時間がかかるが地道な取り組みが重要である。また、補助金は雄幸に、 積極的に活用すべきだが依存はダメ。
脱却から自律のプロセスをしっかり立てること

○日高川町ふるさと振興公社、きのくに中津荘

○和歌山県森林組合連合会御坊事務所

 日高川町は、平成17年5月に川辺町、中津村、美山村が合併し紀伊山地を源流とする日高川流域の総面積331.65平方キロメートルで 人口10,842人の町である。
 なかでも、森林面積が29,019haで総面積の87.5%を占めており、林業の町ではあるがその現状は無論厳しいものがある。
こうしたなか、平成19年に近畿バイオマス発見活用協議会に参加し、平成20年に日高川町新エネルギー推進研究会議を設立、和歌山大学 システム工学部との研究開発を進め木質バイオマス利活用に関する調査、木質パウダー燃料による実証実験等を行ってきた。そして、平成21年 度から本格的に木質パウダーによる、木質バイオマスの地産システムを構築し現在に至っている。
木質パウダーは、木を微細な粉(約30ミクロン*1ミクロン=1000分の1ミリ)に加工した燃料で、ガスのように直接燃焼させるもので、 製造過程においては乾燥工程が不要であり製造施設も小型で対応できコストが削減できることや、燃焼においてもボイラーも小型化でき、均質な 燃料品質、燃焼制御が容易、灰の処理が容易(燃料の1%)等の特徴がある。
 日高川町では、こうした研究・実証実験や木質パウダーの特徴を活かし、今回視察した、きのくに中津荘ほか3施設にパウダー用ボイラーを 導入している。また、パウダーの安定供給と森林整備を進めることを目的に、和歌山県森林組合連合会と連携し御坊事務所にパウダー製造機等 を導入し、木材、木質パウダーの地産地消に取り組んでいる。
 なかでも、住民が買い物等のついでに自家用軽トラックに間伐材や雑木を森林組合に持ち込み、その代金として地域通貨券を交付し地元の消費 を増やすといった「住民参加型木質資源活用モデル事業」が実施されており、t=6,000円の地域通貨券が支払われている。

 【感想】

森林整備が急がれ、経済対策においても多くの予算が投入され間伐や作業道整備が進められている。また、堆肥化や燃料など木質バイオマスの利活用 にも積極的な取り組みが行われているなかで、自治体が中心となって町の特性である森林・林業の再生に向け木材の地産地消システムを構築し、 積極的な事業展開がなされていることは大変好ましいことと受け止めた。
一方、例えば木質パウダーの年間生産数量は500tに対し現在は約300t弱の使用となっており、生産する森林組合のコストの問題や今後の 安定供給に課題があり、風力発電施設や太陽光施設なども同様に安定した燃料供給と需給のバランスを保つシステムが重要とあらためて認識した。
 また、地域通貨券を発行する「住民参加型木質資源活用モデル事業」は、金額そのものも重要ではあるが、住民の意識啓発にも重要な役割を 果たしており有意義な取り組みと感じた。

○農業生産法人(有)新岡農園

 新岡農園のある、かつらぎ町は和歌山県の北東部、伊都郡の西部に位置し中央部を紀ノ川が西流し、温暖な気候条件を活かし柿や桃、スモモ、 梅、ぶどう、キューイフルーツなどの落葉果樹やみかんやネーブルなど晩橘類などが生産されている地域である。
 しかし、農地は山間部で傾斜地が多く作業効率など栽培条件が悪く、コスト削減策を講じているものの、高齢化にともない耕作放棄地等が年々増加している。
 こうしたなか、新岡良雄(現専務)さんはミカンや柿などの生産農家であり、結婚後奥さんの敏美(現社長)さんと生産を続けてきた。
良雄さんから栽培技術を学びながら、探究心豊かな敏美さんは、柿酢や梅干しの加工食品の開発にも精力的に取り組み、1996年に 農事法人(有)新岡農園を設立するにいたった。
 専務の良雄さんはあくまでも寡黙でまさに職人と言った感じを受けた一方、社長の敏美さんは、富山弁ではちゃべちゃべしていると いった言葉がピッタリで、商魂たくましくまた、チャレンジ精神旺盛で商品開発から従業員の切り盛りなどを一手に引き受け、現在県の 農業法人協会会長も務め生産振興にも積極的に取り組んでいる。
 現在、契約農家7軒を合わせると柿の年間収穫量は10tで、果樹としての販売のほか形の悪いものは干し柿の一種で特産の「あんぽ柿」 に加工。併せて梅干しの生産加工等々を展開している。
 また、耕作放棄された傾斜地を森林組合等の協力を得て、栗の木の植樹を行うなど復元に努めている。

【感想】

富山県においても、女性農業者の育成や6次産業化へ女性の参入を推進しており、県内にも多くの実践が実を結んでいる。しかし、依然として 裏方といったイメージが強く敏美社長の姿を見て、一層の活躍の場、特に表舞台での活躍の機会を意図的に作るべきと感じた。
また、中山間地域での耕作放棄地の拡大は全国的課題であり、その復元にも気候条件等により画一的な方策はないが、人材育成と条件が極めて 厳しい地域への積極的な支援の必要性をあらためて痛感した。