神社豆知識

項 目
1.御神饌(供え物)に書く言葉 9.お正月について
2.拝殿でのお参りのしかた 10.おまもりについて
3.神道おける忌服について 11.「祈祷料」について
4.神葬祭における参拝のしかた 12.「鈴」について
5.おみくじについて 13.地鎮祭について
6.古いお札やお守り、縁起物の処分 14.御神酒について
7.古い神棚の処分 15.神棚の祀り方
8.厄払いについて 16.神様の「けんか」の誤解
平成16年11月13日更新
神社用語集


1.御神饌(供え物)に書く言葉

 神社にお祓いやご祈願などにおいでになる際には、一般的にお供え物として御酒やお金などをお持ちいただくことが多いことと思います。このときに御酒に付けた熨斗紙、またお金を入れた熨斗袋や封筒には、何と書くべきなのかというご質問をよくお受けいたします。

 これは「こう、書かなくてはならない」といったものはありません。ただ、一般には御酒の場合、「献酒」または「御神前」などとお書きになられればよいでしょう。また、無地でも構いません。お金の場合は、「(御)玉串料」「(御)幣帛料」「(御)初穂料」「(御)神饌料」などとお書きください(御神酒や御神饌を別にお供えされている場合は「(御)玉串料」と書きます)。「御祝」「御礼」「寸志」などとお書きになられるよりはよいかと思います。

2.拝礼の作法

 大きな神社などに一般参拝されるときは、拝殿前に設置された賽銭箱の前でお参りされることがほとんどかと思います。拝見しておりますと、このようなときの参拝作法が意外と知られていないようですので、ここで説明いたします。

1. まず、境内に入ったら手水舎を探し、手水を取ります。
2. ご神前(賽銭箱の前など)に立ち、賽銭を投げ入れます。
3. 大鈴が下がっていれば、これを勢いよく鳴らします。これは自分で行うお祓いですから、必ず拝礼の前に鳴らします。
4. 二礼二拍手一礼により拝礼します。慌てずゆっくりと行います。ここで行う「礼」は「拝(はい)」と呼ばれ、腰を90°に折り曲げる深い礼です。
5. 軽く会釈をし、ご神前から下がります。

 細かな作法はいろいろあるのですが、とりあえずはこれだけ憶えておくとよいでしょう。

3.神道おける忌服について

 非常によくお受けするご質問のひとつが、身内に不幸があったときの神社参拝に関する問題です。つまり「忌み」の期間やその間の禁忌事項についてです。

 昔は、「忌みの期間は丸一年間、神社の境内に足を踏み入れてはならない」といわれていたようです。しかし実際には「忌み」はけじめの期間でもありますから、現在当社では、仏式で葬儀を行われた場合、お骨が家からなくなるまで、つまり49日間を忌みの期間として、それが過ぎれば、鳥居をくぐれるのはもとより、祭式で参拝しても何ら問題はないと申し上げています。神式による葬儀ですと、お骨は家に戻ってきませんから、神職などは10日間だけということになっています。

 よく「死の穢れ」といって、家族に不幸があると、自分の身体そのものが汚くなるように思われがちですが、人の死は決して汚らわしいものではありません。むしろ高潔なものと言ってよいでしょう。ただ、親しい人が亡くなると、気持ちが沈んで元気がなくなりがちになります。この状態こそが「気枯れ(げがれ)」で、気持ちの整理さえつけば、これはなくなるわけです。このようにお考えになっていただければ、神道における「忌み」をご理解いただけるかと思います。

4.神葬祭における参拝のしかた

 一般の方々にとっては非常に機会が少ないため、神葬祭に参拝するとなるとわからないことだらけかと思います。そのようなときのために、簡単に要点だけを記します。

 一般の方々が参拝されるのは「通夜祭」と「本葬祭」になります。お供えのお金を入れる封筒は、白色のシンプルなものを使用します。表書きは、通夜祭のときには『(御)榊料葬祭のときには『(御)神饌料と書きます。水引は無くてかまいません。社家では水引代わりに麻紐を巻き、結び目を「結びきり(から結び)」にしています。

 霊前での参拝は、神前と同様に二礼二拍手一礼ですが、柏手は大きな音をたてないように微音で行います(「忍び手」といいます)。

 服装は一般の喪服でかまいません。数珠は不要ですので、お持ちにならないように気をつけてください。

5.おみくじについて

 初詣につきものなのが「御神籤(おみくじ)」ですが、この御神籤について勘違いをされている方がほとんどのようです。そもそも御神籤とは神様からのご託宣ですから、非常にありがたく貴重なものであるはずです。その年の指針を与えてくれるものですから、大切に財布や定期入れなどに1年間保管して、度々読み直して参考にするべきものなのです。もちろん、吉凶に関係ありません。吉と出ていても御神籤に書かれていることを守らねば凶に転じますし、凶と出ていても注意事項に気をつけていれば災い転じて福となすこともあるのです。

 ところが一般には、ざっと目を通した後は境内の木々の枝に結んでおしまいです。これは明らかに間違っています。なぜ、このような方法が一般に広まったのかというと、枝に「結ぶ」ことにより、「産霊神(むすびのかみ)」のちからを得て、吉であれば成就させ、凶であれば祓ってしまおうという民間信仰によるようです。御神籤がご託宣であるということを忘れてしまった結果なのでしょう。また、境内の木々にとっても非常に迷惑な行為で、御神籤のおかげで枯れてしまうものもあるくらいです。日本中の神社で頭を抱えている問題のひとつでもあるのです。是非、ご理解の程をお願いいたします。

6.古いお札やお守り、縁起物の処分

 新年を迎えるにあたっては、(神棚の中の)古いお札や各種お守り、また熊手や穂宝などの縁起物を処分しなければなりませんね。「処分」というと言葉が悪いですが、一年間お世話になった感謝の意も込めて、失礼のないようにしたいと思われることでしょう。

 これらは基本的には戴いた神社へお返しし、篝火(かがりび)などでお焚き上げしてもらうのがよいでしょう。師走の末から正月にかけて、また初詣がてら持っていっても問題ありません。当社でも年末には拝殿内に専用の箱を設置いたしておりますので、この中に入れておいていただければ、元旦に篝火でお焚き上げいたします。また、昨今はダイオキシンの問題もございますので、できる限りプラスティックや金属部分を外してからお持ちください。特にビニルカバー入りのお守りは中のご神璽のみ、熊手も陶器やプラスティック製の部分を外したものをお持ちいただくようお願いいたします。

 

7.古い神棚の処分

 「古くなった神棚はどうすればよいのでしょう?」これもよくいただくご質問のひとつです。お守りやお札と異なり、大きな物ですから、途方に暮れてしまいそうです。これはお近くの神社にお願いしてお祓いをしてもらってからお焚き上げをいたします。このときは神社側もかなり手間がかかりますので、お気持ちをお供えしていただければよいと思います(2〜3千円程度)。

 神棚に付随する神器や縁起物は可燃物のみお持ちください。神棚を納めてあった箱や棚はお持ちになる必要はありません。ご家庭で処分してください。灯籠(電球タイプ)はそのまま不燃ごみとして、鏡のみ例外的にお持ちいただいても結構です。

 新しい神棚をご購入されたときは、神棚奉鎮祭を行うのが理想的です。このとき神職に古い神棚についてご相談されればよいでしょう。

8.厄祓いについて

 厄年を迎えられる方は正月の間に厄祓いをお受けになってください。理想的には元旦の午前中がよろしいでしょう。当社では元旦の深夜に氏子の方々の厄祓いを行っております。

 厄年は男性が25歳・42歳女性が19歳・33歳が一般的です(女性の37歳、男性の61歳を厄年に加えることもあります)。この歳は「数え歳」ですので、生まれた年を1歳として、元旦を過ぎるごとに+1歳したものです。ですから、12月31日生まれの赤ん坊は翌日には2歳になるわけです。

 還暦(男女61歳)は厄祓いではなく、お祝いなのですが、このとき一緒に神様に感謝を申し上げる祝詞を奏上いたします。

 また、上の厄年を本厄と称し、その前後1年を前厄・後厄と呼んで、同様にお祓いをされる方もいらっしゃいます。この場合は、本厄のお祓いとは別に行うのが一般的ですので、神職にその旨を明確にお伝えください。

9.お正月について

 正月を祝うのは神事のひとつです。各家に「歳神様(としがみさま)」をお迎えし、その年一年分の霊力を各自いただくのです。門松は歳神様をお迎えする目印であり、鏡餅は歳神様のご神体となるわけです。これで「お年玉」の本来の意味も想像がつくかと思います。「歳神様からいただくたましい」のことです。子供に一年間過ごせるだけの霊力をお金に変えて与えているというわけです。歳神様は鏡餅に宿られますから、お年玉と称し、子供に餅を担がせる風習の残っている地域もあります。お正月は歳神様から霊力をいただけるから目出度いわけですね。

 初詣は氏神様や崇拝する神社へ詣でて、昨年一年間の感謝とその年はじめのご挨拶することです。こちらは歳神様とはまた別の神事です。

 大晦日の晩には「大祓い」の神事も行います。新年を迎える前に、一年(6月30日に大祓いをした場合は半年)分の罪穢れを祓う神事です。除夜の鐘も、この神事がお寺に取り入れられたもののようです。

10.「おまもり」について

 交通安全、安産、縁結び、学業成就、その他諸々、「おまもり」にはいろいろな種類があります。おまもりを持っていればいつも神様のご加護が得られる、一般にはこのように考えていらっしゃる方が多いのではないかと思います。実際、おまもりとはいったいどういうものなのでしょうか。

 一言で言ってしまうと、「おまもり」とは携帯電話ならぬ「携帯神社」なのです。神社は神様と人間とのより親密な接触の場であるということができます。ですから、おまもりを持っていることによって、いつでもどこでも神様を意識し、より親密に感ずることができるようになるわけです。

 おまもりの中には必ず御神璽(ごしんじ)が入っています。携帯神社のご神体に相当するものです。交通安全用のものなどは、御神璽がそのまま見えるようになっているものもの多いようです(神社名と朱印が押してあるもの)。肌守(はだもり)のように錦袋のものは、中に厚紙や木板に挟まれた小さな御神璽が入っています。これは各神社ごとにその神社の御神璽をひとつひとつ入れて作ります。そして御霊入れのお祭りをして御神璽に神霊を宿していただき、みなさまにお分けできるようになるのです。

 このようなことから、おまもりは「売る」とは言わずに「お分けする」と言います。神社を「売る」なんておかしいですものね。神様の御霊(みたま)を「お分け」するわけですから。

11.「祈祷料」について

 車のお祓い、初宮詣、七五三詣などで参拝される場合、神職への謝礼として通常は現金をお持ちになられるかと思います。ところが、本来は神社参拝される場合に「神職への謝礼」は不要なのです。神職は皆様が神様にお供えされたものの「お下がり」をいただいて生計を立てているのです。ですから、「祈祷料」などというものは、少なくとも神社では存在しないものなのです。皆様が神社参拝されるときは、1.御神饌(供え物)に書く言葉をご参考になさり、お供えされるものはすべて、お祭りの前にご神饌(しんせん)や幣帛(へいはく)として神職にお預けください。

 また、「ご祈祷料はおいくらでしょうか?」とお尋ねになられる方がいらっしゃいますが、これもお答えするのが難しい質問なのです。祈祷料が不要なのは上の説明の通りなのですが、では神饌料(玉串料)はいくらが相場(?)なのかと尋ねられると、「人それぞれ」としかお答えできないのです(「これくらいの方が多いです」と実状をお伝えすることはできますが)。御神饌はお参りされる方の神様へのお気持ちそのものですから、価値観や信仰心によって異なって当然ですし、学生や会社社長など、実収入によっても異なってくるでしょう。神様に対して素直なお心になられ、自分にも素直になって金額等をお考えください。神職は金額に関係なく、まったく同じようにご奉仕いたします。

12.「鈴」について

 神社では、「鈴」がよく目につくかと思います。拝殿入口に吊してある大鈴を始め、巫女が舞いを奉納するときにもよく鈴を手にしています。また、交通安全などの御守りや破魔矢などにも小さな鈴がついていますよね。

 古来より鈴には「邪なるものを祓う力」があると考えられてきました。注意すべきは、鈴そのものにではなく、「鈴の」に力があるということです。拝殿前の大鈴は鳴らさなくてはお祓いの意味がないのです。確かに、あの大きく厳かな音を聞けば、身が引き締まって邪心や邪霊は吹き飛んでしまいそうです。交通安全の御守りの鈴も、車内に吊せば振動で音が鳴ります。そう、車内の邪なるものを祓うためです。そういった意味では、鈴付き破魔矢もちょっと手荒に振り回すくらいのほうがよいのかもしれませんね。

 もうひとつ。鈴の音には「心を引きつける」力もあると考えられました。奉納舞などで巫女が手に持ち鳴らす鈴は、こちらの意味です。澄んだ鈴の音で神様の御霊(みたま)を引きつけ、御霊の昂揚を期待し、より大きな御神徳を得ようというのでしょう。

 参拝時に大鈴を鳴らすのも、「神様の御霊をお呼びするためである」と説明される神職の方も多いようですが、その場合は少なくとも澄んだ美しい音色の鈴に限っての話でしょう。仮にそのような意味合いがあったとしても、主たる意味は「自分自身のお祓い」であることをお忘れなく。

13.地鎮祭について

 新しく自宅や社屋を建てるということは、人生の中でそう何度もあることではありませんね。このとき、基礎工事を始める前に行うのが地鎮祭(じちんさい/とこしずめのまつり)です。地鎮祭は産土神(うぶすながみ)を始め、その建設に関わる神々にお許しを乞い願い、引いては工事の安全と家や会社の隆昌をも併せてお願いするお祭りです。家相・風水学でも地鎮祭は重要視されています。

 一般の住宅を建設する場合、殆どの方が専門の業者に工事を依頼されることと思いますが、そのまま地鎮祭の段取りもお願いされることが多いようです。確かに、一般の方で地鎮祭の段取りが分かる方は僅かでしょうから、当然の結果だと思います。ただ、ここで忘れていただきたくないのが、あくまでも家を建てる人(施主)が地鎮祭の主役であるということ。神様にお許しをいただき、お願いを聞いていただくのは、施主およびその家族と工事を担当する業者さんなのです。神職の仕事は、その「中取持(なかとりもち)なのです。ですから、お供え物の準備や斎場の準備には施主さんやそのご家族に積極的に参加していただきたいのです。諸事情あることと思いますが、できる限りで結構ですから、人任せにしないように心がけてください。お世話になる神様に誠意を持って接することが重要なのですから。

14.御神酒について

 御神酒とは本来神様にお供えしたお下がりのお酒を指します。神様に物をお供えしてお参りをすると、神様の霊力がそのお供え物に宿ります。お酒をお供えしてお祭りをすれば、霊力の宿ったお酒、すなわち御神酒になります。これを後から頂けば、神様の霊力が直接体内に入ることになるのです。このことは神道の祭礼に於いて、非常に重要なことです。

 さて、それでは御神酒とすべくお供えするお酒はどのようなものが良いのでしょうか。実はこの質問は日頃からよくいただくもののひとつなのです。「日本酒ならば何でも良いのですか?」「1升ではダメですか?2升必要なのですか?4合ビンやパックのものは?」「ビールじゃいけませんか?」などなど。しかし、先に述べたように、お酒であれば基本的になんでも構いません。量も同様です。大切なことは、お参りをなさる方が神様に召し上がって頂きたいと思うお酒であるという点です。自分が普段から美味しいと思って飲んでいるもの、あるいは飲みたいと思うもの、下戸の方でしたら「純米酒」(*注)と書かれた日本酒を選ばれるとよいでしょう。心を込めて選ぶことこそが重要なのです。

(注)「純米酒」・・・米と水だけから作られている日本酒に書かれています。つまり、昔ながらの方法で混ぜ物を一切せずに作られた真面目なお酒なのです。ちなみに伊勢の神宮でお供えされているお酒も純米酒です。

15.神棚の祀り方

 神棚のあるご家庭は多いことと思います。神棚は天の気と地の気を集めて家の中に満たしてくれます。もちろんこれは神棚のご神体であるお神札(ふだ)を通して得られる神様の恵みによるものです。ですから、神棚の場所の垂直方向に気を集めるための障害があってはいけません。神棚の上下に水や火の気があってはならないと言われるのはこのためです。また、神棚の上下を人が激しく往来することも気の乱れにつながるため厳禁です。集合住宅などで上下の清浄を確保不能な場合、天井に「雲」という文字を貼ったりするのは、天と神棚を直接結ぶための一法といえるでしょう。また、神棚はなるべく家の北側から中心近くに南か東向きに設置し、清浄で暗くならないようにします。もちろん、人の目線より上になるようにします。そしてなるべく家族が集う場所であることです。

 次にお祀りの仕方ですが、朝夕2回の参拝、一日一度のお供え物の交換が基本になります。忙しい現代人にとって、これはなかなか大変なことですが、「これが基本」という意識を持つことが大切かと思います。また、お供え物は、ご飯(米)・酒・塩・水、それと榊が基本ですが、水をこまめに交換できれば、あとは常識の範囲で交換すればよいでしょう。重苦しく考えず、できることを心を込めて行いましょう。
 また、お供え物(神饌)の位置ですが、必ずご飯(米)を中央に、水は左端になるようにお供えします(配置例)。三方があれば、これにご飯(米)を乗せます。水器に蓋があれば、お供えしてから必ず蓋を取って横にうつ伏せにして置いておきます。神棚をお祀りしたポスターなどが見受けられますが、神饌の位置等が間違っているものが多いので留意してください。

 さてお神札ですが、お正月前にお受けになられ、年頭に新しい物と交換します。このとき、お神札の表面に半透明の薄紙が巻いてあることが多いと思いますが、これは神棚に入れる直前に剥ぎ取って、神様のお名前がよく見えるようにしてから納めた方がよいでしょう。そして扉は開いたままにしておいた方がよいでしょう。閉じておくのであれば、前に鏡を置いておきましょう。

 以上のことを踏まえて神棚をお祀りされれば、より多くの恵みをいただけることでしょう。

16.神様の「けんか」の誤解

 よく「神様がお互いに喧嘩をされるからやってはいけない」という話の真偽を尋ねられます。確かに自分の身のまわりで神様に喧嘩をされたのでは大変です。でもこの質問の回答は単純明快です。神様が互いに喧嘩をなさることはありえません。仮に御利益の全く正反対の祈願を異なる神社でなさったとしても(例えば同一人物との「縁結び」と「縁切り」など)です。もちろん、そのこと自体が神様に対して失礼なことですからやってはいけないことですが。そもそも「喧嘩」などという低次元な争いごとに神様がお力を使われるわけがありません。

 「神様の喧嘩」は心ない人が神様に失礼なことをしないように考え出された方便といえます。「神棚と仏壇を向かい合わせに置いてはいけない。神様と仏様が喧嘩をなさるから。」というのがその典型です。これは神棚と仏壇が向かい合わせだと、片方にお参りしているとき、どうしてももう片方にお尻を向けてしまいます。ですから向かい合わせは神仏に対して失礼になるのです。これを理屈抜きで言い表したわけですね。ちなみに「同じ部屋に神棚と仏壇を置いてはいけない」とも言われるようですが、これは気を遣いすぎです。互いが真正面を向き合っていないのであれば問題なしです。

 また、「異なる神社のお守りを持っていると喧嘩をなさる」というのもあります。これも同様に心配は無用です。ただし、いろいろなお守りを5つも6つも持っているというのでは話は別です。受験に備えて「学業成就」と「健康守り」と「交通安全」を持つというのはわかりますが、異なる神社の学業成就守りをいくつも持ったりするのは感心しません(せめて3つ以内に抑えましょう)。心が分散してしまうので「過ぎたるは及ばざるがごとし」になってしまいます。

 最後に神職として一言言わせてもらえれば、「神様の喧嘩は方便だとしてもあまり褒められた方便ではありませんね。」


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